SaaSで採用が変わる

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HENNGEでは社員の約20%が外国籍ということもあって、公用語を英語化しダイバーシティへの取り組みを推進しています。昨今は少子高齢化に伴う労働力不足へ対応するため、多様な働き方の実現やITを活用した生産性向上が企業の喫緊の課題となっていますが、その解決の一例としてHENNGEの人材マネージメントとHR分野でのIT活用状況についてご紹介します。 ※2019年11月に開催された「HENNGE NOW!2019」より


HENNGEにおけるSaaSの活用状況

このセッションでは、当社が人事面における課題を解決するために挑戦していることについて、HRテックの取り組みも含めてご紹介します。

まずその前に、HENNGEの特色についてお話ししましょう。まず挙げられるのが、外国籍の社員が多いことです。2019年9月の時点で、全体の22.35%、メンバーの5人に1人が外国籍となっています。

当社では、外国籍のエンジニアを獲得するために、2013年からグローバルインターンシッププログラムと呼ばれる取り組みを行っています。2019年9月までの累計で、世界140の国・地域から約1万人の応募があり、コーディングテストやWeb面接などを経て、24の国・地域から89名がインターンを経験。この中から毎年何人かが入社しています。

そうした背景もあり、当社の公用語は英語となっています。2013年に英語化を宣言した際には、全社員のTOEICの平均点は300点台だったそうですが、3年間の猶予ののち、2016年10月から正式に社内で英語を使うようになりました。

当然ながら現在は部署名も英語となっており、私が属する人事部門も、正式名はBusiness Administration Division, Human Resource Sectionとなっています。日本語でいえば「管理部人事課」といった意味合いですね。

社内ツールは英語対応が必須

社員の中には日本語のわからない者もいますので、社内で利用するツールは英語対応が必須となります。このうち、HRテックの領域では以下のようなSaaSを利用しています。

まず、勤怠システムには「TeamSpirit勤怠管理」を使っています。出退勤する際にPCやスマホアプリの画面でクリックすると、その時刻を記録してくれるものです。システムの導入にあたってはサーバーにアクセスをした時間をもとに出退勤の時刻を自動的に管理するというツールも検討しましたが、PCを利用しない業務もありますし、ログイン/ログアウトの間を業務時間とするのは難しいという判断から、このサービスを採用しました。

人事データベースと人事評価のワークフローには「カオナビ」を使っています。このツールについては、シートを自由に追加したり、細かく権限設定したりできることを評価しました。人事情報には子供の扶養情報や年収のヒストリー情報なども含まれており、権限管理がしやすいのが特長ですね。

給与明細には「Fleekform給与」を使っています。当社の営業担当がSalesforceを利用していることもあり、同ツールとの相性の良さで選びました。「E-Payslips」というメニューを追加し、勤怠と給与明細を一緒に見られるようにするといった工夫を行っています。

さらに、全社員が人事情報にアクセスできるよう、Google Siteを使って「HR Portal」というポータルサイトを運用しています。メニューは英語ですが、社員へ誤解なく情報を伝えるためにサブとして日本語もある程度入れるようにしています。この辺りの線引が難しかったのですが、メンバーで話し合って内容を決めていきました。

HENNGEの人事の課題

ここからは、HENNGEの人事部門が抱える課題についてご紹介しましょう。大きくいうと、「採用」「定着」「多様性」と、3つの課題が挙げられます。

「採用」は、現在、企業間で優秀なエンジニアの奪い合いになっていることが大きな課題です。そこで当社は世界へ目を向けることにし、スタートしたのが先ほどお話ししたグローバルインターンシッププログラムです。たとえ日本語ができなくても、英語さえわかれば日本で働けるということをアピールするため、プログラム担当が海外まで足を運んでいます。

次は「定着」です。これは今後5年、10年と社員に定着してもらうにはどうすべきかという課題です。この点については社員により働きやすい環境を提供することが重要と考え、フレックスタイム制を採用したり、フリーアドレスやリモートワークを取り入れたりしています。

また、応募者とのミスマッチを減らす努力も必要です。中途入社した社員に話を聞くと「会社の成長や変化のスピードが早いとは聞いていたが、これほどだとは思わなかった」と言われることがよくあります。たしかに入社してみないとわからないことは多いでしょうが、応募の段階でHENNGEのカルチャーや大切にしていることを十二分に伝えておくことも大事です。また、オンボーディングのプログラムを見直し、入社初期の段階でサポートを充実させる必要があるとも考えています。

さらに、自分の成長を実感できる機会を設けることも必要でしょう。HENNGEに中途入社したものの、以前の会社とまったく同じ仕事をするのであれば、これまで自分が貯金をしてきた経歴を食いつぶすだけになってしまいます。新しいことが何も身に付かないのであれば、モチベーションも下がってしまうでしょう。ですから、その社員が何をしたくてHENNGEに入社したのか、何を望んでいるのかということをきめ細かくコミュニケーションすることが大切です。各部門のマネージャーは部下との1on1をかなり意欲的に行っていますが、人事部門としてもこれをサポートしていく必要があると思っています。

課題解決への挑戦

そして最大の課題が「多様性」です。これは人事の課題というより、HENNGE全体の課題だと思っています。他社の方には「外国籍の社員が多いし、多様性への取り組みが進んでいますね」とよく言われるのですが、だからこそ新たな課題も生じています。

例えば、日本人だけのチームのときは何もしなくても一体感があったのに対し、外国籍のメンバーが少しずつ入ってくることで、文化の壁や言葉の壁がつくらてしまい、チームでの横断的なコミュニケーションが減り、サイロ化してしまうような傾向があると感じています。外国籍のメンバーに誤解を受けてしまったり、「日本人だけで集まっている」といった疑いの目や疎外感が生じたりすることもあるようです。そこで当社はこうした課題を解決すべく、さまざまな挑戦に取り組んでいます。

まず、疎外感が生まれることについては、「日本人のメンバーみんなが知っていることを、自分だけが知らない」と感じてしまうことが原因ではないかと考えました。こうした疎外感は、他のメンバーに対する猜疑心にもつながります。そこで「情報の透明性を担保」し、欲しい情報にはいつでも、どこからでもアクセスできる環境を作ることが大切だと考えました。

具体的には、情報の流通モデルの変革に取り組んでいます。以前は、上長がチームメンバーに情報を降ろしていく、いわゆる「キュレーション型」だったものを、メンバーの一人ひとりが情報を取りに行ける「サブスクライブ型」に変えようとしています。

そのために利用しているのがSlackです。情報の種類別にさまざまなオープンチャネルを開設、例えば営業担当は#Offical Anounceと#Marketing、#Sales_Reporting、人事担当は#Offical Anounceと#Sales_Reporting、#Global_Intern_PRJといった具合に、各人がそれぞれ知りたい情報にアクセスできるようにしています。もちろんオープンチャネルなので、担当部門と直接関係のないチャンネルにアクセスすることも可能です。このように、自分が必要だと思う情報へ自由にアクセスできる環境を実現すれば、情報の透明性が上がり、社員の疎外感もなくなっていくのではないかと考えています。

Slackではダイレクトメール でやり取りしがちですが、なるべくチャネル上で会話をするようにすることで、その話題に直接関係のない人も読むことができ、どんな状況になっているのかがわかるような環境にしていきたいと考えています。

もうひとつが「『超明瞭性』の実現」です。賢明で察しのよいことを「一を聞いて十を知る」といいますが、日本人の多くはこれをよいことだと考えます。しかし、外国籍のメンバーが増え、多様化が進んでくると、逆によくないことになってしまいます。というのも、外国籍のメンバーは「一から十まで全部言ってほしい」と望むからです。これは文化の違いから来るものなのでしょうが、「空気を読む」「以心伝心」「大声で感謝の言葉を言うのは恥ずかしい」といった日本人的なコミュニケーションのやり方では、誤解が生まれやすいのです。

こうしたことを理解した上で、当社はこれからも社員一人ひとりのコミュニケーションに対する意識を変えていくような取り組みを進めていくつもりです。

※HENNGEでは一緒に、変化する・チャレンジする、メンバーを募集しています。募集中の職種に関してはこちらを参照ください。