EDR・MDRとは?
EDR、MDR、XDR等の関連ソリューションの違いと自社に合った選び方を解説
サイバー攻撃の高度化により、多くの企業でセキュリティ対策の見直しが求められています。しかし現在では、EDRやMDR、NDR、XDRなど「DR」がつく用語が乱立しており、それぞれの違いや役割を把握しにくいのが現状です。その結果、「どの製品を選ぶべきかわからない」「自社に必要な対策を判断できない」といった課題が生じています。
本記事では、まずEDRとMDRの違いを整理し、それぞれの特徴や役割を明確にしました。さらに、NDRやXDRなどの類似製品についても、保護する対象ごとにわかりやすく解説します。
そのうえで、自社の課題や体制に応じた最適なセキュリティ製品の選び方を提示し、用語の説明にとどまらず、実際の製品選定に活用できる判断軸を体系的にまとめています。また、HENNGEでは情シスの運用負荷を最小化する最善策を動画でも公開中です。特にエンドポイント周りで運用課題をお持ちの方は、ぜひこちらから資料請求をしてください
目次
EDRとMDRの違い
EDRとMDRはいずれも高度なサイバー攻撃に対応するための重要なセキュリティ対策ですが、その役割と位置づけは大きく異なります。
しかし実際には「違いが曖昧なまま比較している」ケースも多く、誤った理解が製品選定の障壁となっているのが実情です。本章では、EDRとMDRの基本的な違いを整理するとともに、それぞれの特徴や導入目的、そして自社に適した選択の考え方について解説します。
| 項目 | EDR | MDR |
| 概要 | エンドポイントの挙動を可視化し、不審な活動を検知するツール | 検知・分析・対応までを外部に委託できるマネージドサービス |
| 主な役割 | 端末内の振る舞いの可視化・検知(インシデント調査の起点) | 監視・分析・インシデント対応の実行 |
| できること | 不審なプロセスや通信の検知、端末の状態把握、ログ取得 | アラートの監視、原因分析、封じ込め・対応支援 |
| 対応範囲 | 主にエンドポイント(PC・サーバー) | EDRなど複数ツールを横断して対応(ベンダーによる) |
| 運用主体 | 自社(情シス・セキュリティ担当) | 外部ベンダー(SOC/セキュリティ専門チーム) |
| 専門人材 | 必須(自社で分析・対応が必要) | 不要または最小限で可 |
| 向いている企業 | ある程度の運用体制・人材がある | 人材不足/運用リソースが足りない |
EDR(Endpoint Detection and Response)の特徴
EDRとは、PCやサーバーなどのエンドポイント上で発生する操作や通信を記録・可視化し、不審な挙動を検知するセキュリティツールです。従来のアンチウイルスが既知のマルウェアを検知するのに対し、EDRは端末内の挙動を継続的に監視します。プロセスの起動やファイル操作、外部通信などを追うことで、攻撃者の侵入経路や実行内容を把握可能です。
これにより、未知のマルウェアやファイルレス攻撃といった従来の対策では見逃されやすい脅威に対しても、不審な振る舞いとして検知できます。さらに、インシデント発生時には該当端末の隔離や不審プロセスの停止といった初動対応を迅速に行えるため、被害の最小化につながるでしょう。
一方で、EDRは脅威を検知するだけなので、実効的なセキュリティ対策とするためには、その内容を分析し適切に対応する運用が前提となります。そのため、セキュリティ人材や運用体制が整っていない場合には、MDRなどの外部サービスと組み合わせ、現実的な体制を構築することが重要です。
【関連記事】 EDRとは? 専門家不在でも導入できる?運用負荷を抑え、被害を防ぐ4つの重要機能
MDR(Managed Detection and Response)の特徴
MDRとは、EDRなどのセキュリティツールを活用しながら、監視・分析・対応までを外部の専門チームが担うマネージドサービスです。EDRが「脅威を可視化・検知するツール」であるのに対し、MDRは「その検知結果をもとに実際の対応まで実行する体制」を提供する点が大きな特徴です。
多くの場合、専門のセキュリティチームが24時間365日体制で監視を行い、アラートの分析から初動対応、封じ込めまでを一貫して実施します。これにより、インシデント発生時の対応スピードと精度を大幅に向上させることが可能です。
また、自社にセキュリティ人材がいない、あるいは運用リソースが不足している場合でも、実務レベルのセキュリティ運用を実現できる点は大きなメリットといえます。なお、サービスとして提供されるため、月額課金型のコスト構造が一般的です。
MDRが必要とされる背景
近年、従来の境界防御であるファイアウォールやアンチウイルスだけでは、防御が十分とはいえない状況にあります。特にエンドポイントは攻撃の起点となりやすく、可視化と迅速な対応の重要性が高まっています。
こうした背景から、EDRは「検知・可視化と対応能力の強化」を目的として導入されるケースが増えてきました。
しかし、多くの企業ではセキュリティ人材や運用リソースが不足しているのが実情です。特に専任の担当者がいない現場では、アラートの見落としや対応の遅れが発生しやすく、結果としてEDRを十分に活用できないケースも少なくありません。
このような課題を解決するため、MDRは「運用負荷の軽減」と「対応品質の向上」を両立させる手段として選ばれています。
EDRとMDRの違いは?使い分けについて
EDRはあくまでツールであり、導入するだけでセキュリティが担保されるわけではない点に注意が必要です。実際、アラートの精査やログ分析には専門知識が欠かせません。誤検知やアラート過多によって対応が追いつかないケースも多く見受けられます。
また、インシデント対応が遅れることで被害が拡大するリスクも無視できません。さらに、24時間365日の監視体制を自社で維持することは、多くの企業にとって現実的ではないでしょう。このように、運用体制が不十分な場合、EDR単体では抜本的な対策とはいえない可能性があります。
したがって、運用まで含めて対策を強化するためには、MDRのようなサービスの活用を検討することが重要です。
類似製品(NDR、XDR、CDR、ITDR)の特徴と役割
EDRやMDR、XDR以外にも多様な「DR」が存在しており、それぞれ保護対象となる領域が異なります。具体的には、エンドポイントやネットワーク、クラウド、ID(認証基盤)など、攻撃対象の拡大に応じて対策も細分化されてきました。
そのため、単一の製品ですべてをカバーするのではなく、「どこを保護するか」という観点に基づいて適切なソリューションを選択する必要があります。また、これらの製品は互いに競合するものではなく、補完関係にある点を理解することも重要です。
自社のIT環境やリスクに応じて、必要な領域から優先的に対策を講じていく姿勢が求められます。
NDR(Network Detection and Response)の特徴
NDRとは、ネットワーク上の通信を監視し、不審な挙動や攻撃の兆候を検知・対応するソリューションです。エンドポイントに侵入したあとの横展開(ラテラルムーブメント)や内部不正の検知に強みを持っています。特に、暗号化通信や未知のマルウェアによる不審な通信パターンを分析できる点が特徴です。
また、ネットワーク全体を俯瞰的に可視化できるため、攻撃の全体像を把握しやすいという利点もあります。一方で、端末内部の詳細な挙動までは把握できないため、EDRなどと併用されるケースが多く見られます。
内部ネットワークの監視強化や、より高度な攻撃対策を求める企業に推奨されるソリューションです。
XDR(Extended Detection and Response)の特徴
XDRとは、エンドポイントやネットワーク、クラウドなど、複数の領域のログを統合的に分析して脅威を検知・対応するソリューションです。従来は個別に管理されていたEDRやNDRなどのデータを横断的に関連付けることで、より高度な検知を実現します。これにより、単一の製品では見逃されがちな複合的な攻撃も可視化できます。
また、アラートの統合や自動化によって運用負荷の軽減に寄与する点も魅力です。一方で、導入や運用には一定のスキルと綿密な設計が求められるため、体制が整っていない場合には効果を発揮しにくい側面もあります。
すでに複数のセキュリティ製品を運用しており、全体最適を図りたい企業に適したソリューションといえます。
CDR(Cloud Detection and Response)の特徴
CDRとは、クラウド環境における脅威の検知・対応を目的としたソリューションです。SaaSやIaaS、PaaSなどの利用拡大に伴い、クラウド特有のリスクに対応するニーズが高まっています。
また、クラウド上のログを収集・分析することで異常な挙動を検知できる点に加え、マルチクラウド環境を横断的に監視できる製品も存在します。これにより、複雑化するIT環境にも柔軟に対応しやすくなるでしょう。
オンプレミス環境の監視には対応しない場合が多いため、ほかのセキュリティ製品との組み合わせを前提とした、クラウド推進企業にとって優先度の高い対策領域となります。
ITDR(Identity Threat Detection and Response)の特徴
ITDRとは、IDや認証基盤を対象とした脅威の検知・対応を行うソリューションです。近年はクラウドシフトやリモートワークの普及により、IDとパスワードによる認証が業務の中心となりました。その結果、認証情報の窃取やアカウントの乗っ取りが増加しており、これらを守る盾としてITDRが注目を集めています。
具体的には、不正ログインや異常な認証行動、権限昇格などの検知が可能です。また、ゼロトラストセキュリティの考え方においても重要な役割を担います。
エンドポイントやネットワークの挙動まではカバーしないため、他製品との連携は不可欠です。しかし、クラウドサービスやリモートワークの利用が多い企業において、重要性が高い領域といえます。
図: セキュリティフェーズ別の対応範囲
自社に最適なセキュリティ製品の選び方
セキュリティ製品が多数存在するなかで重要なのは、どの順番で、どの範囲まで対策を講じるかの見極めです。自社の課題や運用体制、IT環境を踏まえたうえで、段階的に選択していく必要があります。ここでは、その考え方をステップに分けて整理しました。
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STEP1:自社の課題を特定する
まずは、自社がどの段階でリスクを抱えているのかを明確にしましょう。サイバー攻撃への対策は、大きく以下の4段階に整理できます。
対策の4段階
・侵入を防ぐ(メール対策、認証強化、EPPなど)
・侵入を検知する(EDR)
・攻撃の全体像を把握する(XDR)
・運用・対応を回す(MDR/SOC)
これらのフェーズごとに現状を棚卸しすることで、強化すべきポイントが浮き彫りになります。
STEP2:大枠の方針を決める
セキュリティ対策は導入して終わりではなく、継続的な監視・分析・対応を前提とする必要があります。そのため、自社の運用体制によって現実的な選択肢は大きく変わります。
| 代表的な選択肢 | 方針 |
| セキュリティ専任人材がいる/分析・対応ができる | EDRやNDR、CDRなどのツールを導入し、自社で運用 |
| 人材やリソースが不足している | MDRを活用し、監視・分析・対応を外部に委託 |
EDRやNDR、CDR、ITDRといった各種DRは、あくまで「検知・可視化のためのツール」であり、適切な運用が伴わなければ十分な効果を発揮できません。そのため、これらを活用するにあたっては、運用を自社で担うのか、それとも外部に任せるのかを最初に決めることが重要です。
特に、24時間365日の監視や迅速なインシデント対応が求められる環境では、自社運用のみで対応することは難しく、MDRの活用が現実的な選択肢となります。
STEP3:対策範囲を決める
次に「どの範囲まで可視化・監視する必要があるか」を整理することが重要です。IT環境によって、優先すべきソリューションは異なります。
| 判断ポイント | 優先すべきソリューション |
| エンドポイント中心の環境(PC・サーバーが業務の中心) | EDRによる端末の可視化・検知を優先 |
| クラウドやSaaSの利用が進んでいる | IDやクラウド操作を含めた監視が必要(XDRの検討) |
| 拠点間通信や社内ネットワークの利用が多い | ネットワークレイヤーの監視(NDR)の重要性が高い |
| 複数のシステム・クラウド・IDが連携している | 単一領域ではなく、横断的な可視化(XDR)が必要 |
近年は、IDの不正利用やクラウド上での操作を起点とした攻撃も増加しています。IT環境が複雑化している企業ほど、「端末さえ見ていれば安心」とは言い切れないのが実情です。どこで攻撃が発生するリスクが高いのかを起点に、必要な監視範囲を定めていきましょう。
企業の規模に応じた代表的な活用パターン
セキュリティ製品を選定する際には、企業の規模も重要な目安となります。以下に代表的な構成パターンをまとめました。
| 企業の規模 | パターン |
| 小規模企業/人材不足(約10〜50人) | MDRを中心に、エンドポイントを含めた監視・対応を外部に委託 |
| 中規模企業(約50~500人) | EDRを導入し、自社で運用(24時間365日の運用が必要な場合はMDRも利用) *HENNGEのサービス、HENNGE Endpoint & Managed Securityは、EDRと24時間365日対応のMDRがセットになっているため、情シスの運用負荷を抑えるのにおすすめです。 |
| クラウド・ID活用が進んでいる企業(約500人〜1,000人) | EDR+CDR+ITDR、またはXDRで横断的に監視 |
| 大規模企業/SOCあり(約1,000人〜) | EDR・NDR・CDR・ITDRを組み合わせ、XDRで統合管理 |
まとめ
EDRやMDR、XDR、その他のDRは、単体で比較するのではなく、いかに組み合わせるかという視点が欠かせません。複数の製品を導入する場合には、XDRのような統合的な管理基盤の活用も有効な選択肢となります。重要なのは「すべての製品を導入すること」ではなく、自社のIT環境とリスクに照らして「必要な領域を適切にカバーすること」です。
HENNGE Endpoint & Managed Securityは専門人材が不足している企業でも、高度なエンドポイントセキュリティを実現できるマネージドサービスです。EDRの導入を検討しているものの、運用体制の維持に不安を感じているのであれば、ぜひ一度MDRを含めた包括的な対策を検討してみてはいかがでしょうか。
EDRは導入して終わりではなく、継続的な監視・分析・対応まで含めてはじめて効果を発揮します。EDRとMDRの役割や選定ポイントを詳しく知りたい方は、ぜひ以下の動画をご活用ください。
