MDRとは?
24時間365日監視で情シスの負荷を減らす製品選定のポイント

最新更新日: 2026/6/25

近年、サイバー攻撃は高度化・巧妙化しており、令和7年ではランサムウェア被害件数は226件(※)と高水準で推移しています。

このデータからもわかるように、企業にはより高度なセキュリティ対策が求められています。しかし、EDR(Endpoint Detection and Response | エンドポイントでの検知と対応)などのセキュリティツールを導入しても、アラート対応やログ分析、インシデント調査といった運用負荷が増加し、情報システム部門の担当者の負担が大きくなるケースが少なくありません。

こうした課題を解決する手段として、MDR(Managed Detection and Response | 検知と対応のマネージドサービス)が注目されています。MDRは、セキュリティ専門チームが24時間体制で監視を行い、脅威の検知やインシデント対応を支援するサービスです。本記事では、MDRの基本的な仕組みや主な機能、EDRとの違い、導入時の選定ポイントについて解説します。

※出典:令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について(P10)  

 目次

  1. MDRとは?EDRやSOCとの違いについても解説
    1. MDRの定義
    2. EDRとの違い
    3. SOCとの違い
    4. EDR(ツール)+SOC(組織・拠点)+専門家(スキル)=MDR
  2. MDRの主な機能
    1. 24時間365日の監視体制
    2. インシデント初動対応
    3. 調査結果をもとにしたレポートの提供・改善アドバイス
    4. 脅威ハンティング
  3. MDRを導入するメリット
    1. 情シスの運用負荷の削減
    2. インシデント対応のスピード向上
    3. 高度なセキュリティ体制の構築
  4. MDRの失敗しない選び方
    1. 監視範囲(EDR・ネットワーク・クラウド)
    2. 対応ツール
    3. サポート体制
    4. インシデント対応スピード
  5. まとめ

MDRとは?EDRやSOCとの違いについても解説

多くの企業がサイバー攻撃対策としてさまざまな セキュリティ製品を導入していますが、ツールを導入するだけで十分な防御を実現することは困難です。実際には「監視」「分析」「対応」といった継続的なセキュリティ運用が不可欠であり、その運用負担が情報システム部門にとって大きな課題となっています。

こうした背景から、セキュリティを運用のプロに任せられるMDRへの注目が高まっています。まずは、MDRの定義や混同されがちなEDRSOC(Security Operation Center | セキュリティオペレーションセンター)との違いを確認しましょう。

MDRの定義

MDRは、サイバー攻撃の検知・分析・対応を専門チームが代行するマネージドセキュリティサービスです。

企業のIT環境を24時間365日体制で監視し、セキュリティツールが検知したアラートを専門のアナリストが精査します。実際に脅威が確認された場合には、インシデント対応の支援や対処まで実施する点が特徴です。

具体的には、セキュリティログやアラートの監視・分析、インシデントの調査、初動対応の支援、セキュリティレポートの提供などを行います。特に、セキュリティ専門人材が不足している中堅・中小企業においては、自社でセキュリティ体制を構築する代替手段として導入が進んでいます。

EDRとの違い

EDR(Endpoint Detection and Response)は、PCやサーバーなどの端末を監視し、サイバー攻撃の兆候を検知する製品です。

EDRMDRの決定的な違いは「ツール」か「サービス」かという点にあります。EDRは攻撃を検知するためのツールであり、アラートの分析や事後対応は原則として自社の担当者が行わなければなりません。そのため、EDRを使いこなすには高度なセキュリティ知識と人的リソースが必要です。

一方のMDRは、EDRなどのセキュリティツールから得られる情報を専門家が分析し、必要な対応を支援します。MDRを活用することで、EDRの運用負荷を大幅に軽減できる点が大きなメリットです。

【参考記事】EDRとは?専門家不在でも導入できる?運用負荷を抑え、被害を防ぐ4つの重要機能

SOCとの違い

SOC(Security Operation Center)は、企業のIT環境を監視し、サイバー攻撃の検知・分析・対応を行うセキュリティ専門チームや組織です。

一般的にSOCMDRの違いは、自社組織として運用するか、外部サービスとして利用するかという点に集約されます。自社でSOCを構築する場合、特に中堅・中小企業では、専門人材の確保や24時間体制の維持に莫大なコストがかかることが大きな壁となります。

こうしたコストやリソースの課題を解決し、自前で組織を持たずとも、外部の専門家による高度な監視体制を迅速に構築できる点がMDRの強みです。

EDR(ツール)+SOC(組織・拠点)+専門家(スキル)=MDR

EDRは端末側の挙動を監視し、サイバー攻撃の兆候を検知するツールです。一方、SOCはセキュリティ監視やインシデント対応を行う専門組織や運用拠点を指します。

EDRの検知機能をSOCの専門家が継続監視・分析し、脅威対応まで担う運用サービスがMDRです。EDRと組み合わせることで、セキュリティはもちろん、運用効率を高めることにも繋がります。

このように、MDRを導入すれば自社に高度なスキルを持つ人材がいなくとも、強固なセキュリティ運用体制をアウトソースすることが可能です。対してMDRを導入していない企業では、24時間365日の監視やインシデント対応に自社リソースを割く必要があり、情報システム部門の業務負担が大きくなる傾向があります。

MDRの主な機能

MDRは、単にセキュリティアラートを監視するだけのサービスではありません。EDRなどのセキュリティツールから発生するアラートを専門家が分析して脅威の有無を判断し、必要に応じてインシデント対応までを支援します。これにより、企業は限られた人員でも効率的かつ高精度なセキュリティ運用が可能です。本章では、MDRが提供する主な機能について解説します。

24時間365日の監視体制

MDRの基本機能の一つが、24時間365日のセキュリティ監視です。サイバー攻撃は業務時間外や休日を狙って行われるケースも多く見られますが、多くの企業では情報システム部門の人員が限られているため、自社だけで常時監視体制を構築することは容易ではありません。

こうした課題に対して、MDRではセキュリティアナリストがEDRなどのセキュリティツールのアラートや各種ログを常時監視します。具体的には、エンドポイントの挙動ログやネットワーク通信ログなどを継続的に分析することで、攻撃の兆候を早期に検知します。

さらに、専門家が誤検知の除外や優先度判断(トリアージ)を行うため、情報システム部門は重要なインシデントへの対応に集中することが可能です。

インシデント初動対応

脅威が検知された際の初動対応支援も、MDRの重要な機能です。サイバー攻撃の被害拡大を防ぐうえでは初動対応のスピードが重要ですが、アラートの内容を迅速に分析し、適切な対処を判断するには高度な専門知識が欠かせません。

MDRでは、セキュリティアナリストがアラートを分析し、攻撃の可能性が高い場合には即座に対応を支援します。具体的には、感染の疑いがある端末の特定、影響範囲の調査、端末隔離の提案、必要な対応手順の提示などを行います。

サービスによっては、EDRの機能を活用してリモートで端末隔離などを代行することが可能です。このように専門家の初動対応支援により、企業は迅速かつ適切なインシデント対応を行えるようになります。

調査結果をもとにしたレポートの提供・改善アドバイス

MDRでは、セキュリティ運用の状況を可視化したレポートが定期的に提供されます。レポートには、監視結果や検知された脅威の概要、発生したインシデントの詳細、セキュリティリスクの傾向などが整理されています。

これらのレポートは、自社のセキュリティ状況を把握するだけでなく、経営層への報告や説明資料としても活用可能です。また、定期的なレポートを通じて自社環境のセキュリティリスクを継続的に把握できるため、中長期的なセキュリティ対策の改善にも役立ちます。

脅威ハンティング

MDRによっては、アラートを待つだけでなく、専門家が能動的に脅威を探す「脅威ハンティング」を提供しています。

脅威ハンティングとは、既存のセキュリティツールでは検知しきれない潜在的な攻撃の兆候を、専門家がログや挙動データを分析して発見する活動です。通常のアラート対応が発生した事象に対処する「受動型」の運用であるのに対し、脅威ハンティングは攻撃の痕跡を自ら探し出す「能動型」のセキュリティ対策といえます。

このように、MDRでは単なる監視にとどまらず、能動的なアプローチにより、従来の監視だけでは防げなかった高度な攻撃にも対処できる可能性が高まります。

MDRを導入するメリット

MDRは、セキュリティ監視やインシデント対応を専門チームが担うマネージドセキュリティサービスです。導入すれば、企業は自社のリソースを過度に割くことなく、セキュリティ体制を強化できます。

特に、セキュリティ人材が不足している企業にとって、専門家による24時間365日の監視・分析・対応支援を受けられることは大きなメリットです。ここでは、MDRを導入する主なメリットについて解説します。

運用フローから見るMDRのメリット

運用フローから見るMDRのメリット

情シスの運用負荷の削減

EDRなどのエンドポイントセキュリティ製品を導入すると、多数のアラートが発生する場合があります。これらのアラートを1つ1つ確認し、重要度を判断する作業は情報システム部門にとって大きな負担となりかねません。

こうした課題に対し、MDRではセキュリティの専門家がアラートの分析やトリアージを行い、本当に対応が必要なインシデントのみを通知します。

その結果、アラートの確認作業やインシデントの一次分析、さらには夜間・休日の監視対応などをアウトソースすることが可能となり、情報システム部門のセキュリティ運用負荷を大幅に削減できます。

インシデント対応のスピード向上

サイバー攻撃が発生した場合、対応の遅れは被害拡大につながるおそれがあります。特にランサムウェアなどの攻撃では、初動対応が遅れることで感染範囲が拡大し、業務停止や情報漏えいといった重大な被害を招くケースもあります。

そのため、セキュリティ運用においては迅速な初動対応が重要です。こうした状況に対して、MDRではセキュリティアナリストがアラートを迅速に分析し、必要な対応を提示します。

その結果、企業は適切な初動対応をスピーディーに実施可能となり、サイバー攻撃による被害を最小限に抑えられます。

高度なセキュリティ体制の構築

自社でSOCを構築し、24時間365日の監視体制を整えるためには、多くの人材やコストが必要です。これは多くの中堅・中小企業にとって、高いハードルとなります。

一方で、MDRを活用すれば外部のセキュリティアナリストによる監視や分析を利用できるため、コストを抑えつつ高度なセキュリティ体制を構築することが可能です。

こうした特長から、MDRは自社でセキュリティ専門組織を持つことが難しい企業でも、強固なセキュリティ運用を実現できる手段として注目されています。

MDRの失敗しない選び方

MDRはサービス提供企業によって内容や対応範囲が大きく異なります。そのため、十分な比較検討を行わずに導入してしまうと、「期待していたサポートが受けられない」「必要な範囲が監視されていない」といった問題が発生するおそれがあります。

こうした事態を防ぐためには、自社に適したMDRを選定するうえで、いくつかのポイントを事前に見極めておくことが重要です。本章では、MDRを選定する際に確認しておきたいポイントを解説します。

監視範囲
(EDR・ネットワーク・クラウド)

MDRを選ぶ際にまず確認すべきは、どこまでの環境を監視対象としているかです。サービスによって監視対象は異なり、その対応範囲によってセキュリティ対策の効果も大きく変わります。

一般的な対象領域としては、エンドポイント(EDR)やネットワーク、クラウド環境などが挙げられますが、企業ごとにIT環境は異なります。自社のセキュリティリスクに応じて、必要な範囲がカバーされているかを確認しましょう。

特に近年はクラウドサービスの利用が増えていることから、クラウド環境の監視に対応しているかどうかも重要な選定ポイントです。また、脅威ハンティングによる能動的な監視、未知の脅威への対処を実施する製品なのかもチェックしておきましょう。

対応ツール

対応しているセキュリティツールも重要な確認ポイントです。多くのMDRサービスは特定のEDR製品などと連携して運用されるため、自社で利用しているツールに対応しているかを事前に確認する必要があります。

サービスによっては、特定の製品のみを対象としている場合もあれば、複数のEDR製品に対応している場合もあります。

自社がすでに導入している、あるいは今後導入を検討しているツールと連携できるかどうかを把握しておくことで、導入後の運用トラブルを防げます。

サポート体制

セキュリティ運用は継続的に行う必要があるため、ベンダーからどのようなサポートを受けられるのかを事前に確認しておくことも欠かせません。

具体的には、日本語でのサポート体制や問い合わせ窓口の有無、定期レポートや定例ミーティングの実施頻度などを確認しましょう。

さらに、経営層への報告が求められる企業の場合、月次レポートに加えてインシデント発生時の調査レポートや分析結果を提供してくれるサービスであれば、より安心して運用を任せることが可能です。

インシデント対応スピード

サイバー攻撃においては、インシデントをどれだけ早く検知し、対応できるかが被害の大きさを左右します。そのため、MDRを選ぶ際にはインシデント対応のスピードも重要な判断基準となります。

具体的には、アラート発生から通知までの時間やアナリストの監視体制、緊急時の対応フローといったサービスレベルの確認が不可欠です。迅速な対応が可能なサービスを選ぶことで、攻撃による被害拡大を防ぎやすくなります。

なお、アラート発生から通知までの時間については、SLA(サービスレベル合意)やSLO(サービスレベル目標)として明確に定められている場合もあれば、ベストエフォートとして提示されている場合もあります。実際の対応スピードがどのように保証されているのか、事前に確認しておきましょう。

まとめ

MDRを導入すれば、担当者が週末や夜間に張り付いて監視を行う必要はありません。 週明けの月曜朝に「昨夜、不審な挙動があった端末を隔離しておきました。調査結果は以下のとおりです」といった通知を確認するだけで、状況を把握・対応できるようになります。

MDR機能を備えた「HENNGE Endpoint & Managed Securityを導入すると、端末(エンドポイント)の脅威検知に加え、専門家による24時間365日の監視やインシデント対応までをワンストップで実現します。さらに、定期的な脆弱性診断もセットになっており、手薄になりがちな運用体制をサポートします。

「HENNGE Endpoint & Managed Security」は、ひとり情シスでも高度なエンドポイントセキュリティを実現できるマネージドサービスです。EDRを導入しているものの運用体制の維持に課題を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。