【2026年最新】マルウェアの脅威
種類・侵入経路・企業が取るべき対策を解説

最新更新日: 2026/7/28

近年、サイバー攻撃は高度化・巧妙化の一途をたどっています。令和7年のランサムウェア被害件数は226件と、依然として高水準で推移しており、予断を許さない状況が続いています。

出典:令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について(警察庁)

マルウェアの種類や手口が多様化するなかで、「どのような基準で対策を強化すべきか判断できない」という課題を抱える企業も少なくありません。まずは、マルウェアの基本的な定義やウイルスとの違いを正しく理解し、そのうえで代表的な種類と特徴を把握することが重要です。

本記事では、マルウェアの種類一覧とそれぞれの特徴、侵入経路を整理したうえで、企業が優先的に取り組むべきセキュリティ対策の考え方について解説します。

目次

  1. マルウェアとは?定義を解説
  2. マルウェアの種類
  3. マルウェアが被害を引き起こすまでの流れ(サイバーキルチェーン)
  4. マルウェアの主な侵入経路
  5. マルウェア感染時の兆候・症状
  6. 自社に必要なマルウェア対策の選び方
  7. まとめ

マルウェアとは?定義を解説

マルウェアとは「悪意のあるソフトウェア(Malicious Software)」の総称であり、情報の窃取やデータの破壊、システムの停止、不正アクセスなどを目的として作成されるプログラムです。混同されがちな「ウイルス」は、実はマルウェアという大きなカテゴリに含まれる一形態に過ぎません。

マルウェアにはランサムウェアやスパイウェア、トロイの木馬など、多様な攻撃手法が含まれており、非常に包括的な概念といえます。したがって、企業においては特定の脅威に絞るのではなく、これらを「幅広いリスク」として捉えるべきでしょう。

マルウェアの種類

マルウェア対策を適切に行うためには、まず「どのような種類が存在するのか」を体系的に理解する必要があります。一口にマルウェアといっても、その目的や手口はさまざまであり、情報窃取を狙うものからシステムを破壊するもの、外部からの遠隔操作を可能にするものまで多岐にわたるためです。

また、攻撃者が侵入してから目的を達成するまでのプロセスは、サイバーキルチェーンというフレームワークに当てはめて整理するとわかりやすくなります。本章では、代表的なマルウェアの種類を一覧で整理し、それぞれの特徴とリスクについて解説します。

マルウェアの名称特徴
ウイルスほかのファイルに寄生し、ユーザー操作をきっかけに自己増殖する
ワームネットワークを通じ、単独かつ自動的に自己増殖・拡散する
トロイの木馬正規ソフトを装って侵入し、内部で不正活動を行う
バックドア攻撃者が再侵入・遠隔操作するために設置する不正なアクセス経路
ランサムウェアデータを暗号化し、復号と引き換えに金銭を要求する
スパイウェアユーザー情報や認証情報を密かに収集する
アドウェア広告を強制表示し、場合によっては情報収集や不正誘導を行う
スケアウェア偽の警告で不安を煽り、不正な支払いやソフト導入を誘導する
ボット感染端末を遠隔操作し、ボットネットの一部として攻撃に利用する
RAT攻撃者が遠隔から端末を自由に操作できるようにする
キーロガーキーボード入力を記録して認証情報を盗む
インフォスティーラーブラウザや端末内の認証情報・機密データを収集する
ファイルレスマルウェアファイルを残さずメモリ上で動作し、検知を回避する
クリプトマイナー端末のリソースを不正利用して暗号資産の採掘を行う

ウイルス

ウイルスは、ほかのファイルに寄生して自己増殖しながら感染を広げるマルウェアです。実行ファイルや文書ファイルに潜み、ユーザーがそのファイルを開くなどの操作をきっかけに拡散します。基本的な対策としては、ウイルス対策ソフトの導入に加え、従業員のリテラシー向上を図ることが重要です。

ワーム

ワームは自己増殖型のマルウェアですが、ウイルスと異なりほかのファイルに寄生せず、単独で動作できる点が特徴です。ネットワークを通じて自動的に拡散するため、短時間で広範囲に感染が広がり、通信障害を引き起こすことも珍しくありません。対策としては、パッチ管理の徹底やネットワーク防御の強化が求められます。

トロイの木馬

トロイの木馬は、正規のソフトウェアを装ってユーザーに実行させることで侵入するマルウェアです。内部に侵入したあとは、バックドアの設置や情報窃取といった不正活動を行います。不審なメールの添付ファイルや、信頼性の低いサイトからのダウンロードを避けるといった予防策が効果を発揮します。

バックドア

バックドアは、攻撃者が一度侵入したシステムへいつでも再侵入できるように設置する、不正なアクセス経路です。これを許すと、継続的にシステムを操作されるリスクが生じます。侵入後の動きを早期に検知する体制を整え、アクセス監視を徹底することが不可欠です。

ランサムウェア

ランサムウェアは、データを暗号化して使用不能にし、 復号と引き換えに金銭を要求するマルウェアです。近年では、データを窃取したうえで公開をほのめかし、支払いを迫る二重恐喝の手口が増えています。適切なバックアップ運用に加え、侵入後の早期検知体制を整備することが、被害を最小限に抑える鍵となります。

スパイウェア

スパイウェアは、ユーザーの操作履歴や認証情報を密かに収集するマルウェアです。ID・パスワードや機密情報の漏えいに直結するリスクが高いため注意が必要です。認証の強化や、端末の監視体制を整備することが有効な対策となります。 

アドウェア

アドウェアは広告を強制的に表示するソフトウェアであり、その一部はマルウェアとしての性質を持ちます。悪質なものでは、ユーザー情報を収集したり、フィッシングサイトなどの不正サイトへ誘導したりすることもあります。業務に不要なソフトウェアのインストールを制限する運用が重要です。

スケアウェア

スケアウェアは、「ウイルスに感染している」といった偽の警告を表示してユーザーの不安を煽り、不要なソフトの購入や金銭の支払いを促すマルウェアです。ユーザーの心理的な隙を突く手口であるため、社内での注意喚起や、訓練メールを通じた従業員教育が効果的な防御策となります。

ボット

ボットは、感染した端末を遠隔操作し、攻撃者の指示に従わせるマルウェアです。大量の感染端末をネットワーク化したボットネットは、DDoS攻撃(Distributed Denial of Service | 分散型サービス拒否攻撃) などに悪用されます。異常な通信の監視や、外部への不審なコネクションを検知する仕組みの整備が不可欠です。

RAT(遠隔操作型ウイルス)

RATは、攻撃者が遠隔で端末を自由に操るためのツールです。画面の盗み見やファイルの持ち出し、キーボード入力の監視など、あらゆる操作を許してしまうおそれがあります。侵入後の不審な挙動を継続的に監視できるセキュリティ製品の活用が不可欠です。

キーロガー

キーロガーは、キーボードからの入力内容を記録し、IDやパスワードを窃取します。認証情報の漏えいにつながるため、被害が拡大しやすい点が特徴です。多要素認証やシングルサインオン、ワンタイムパスワードなどの導入が有効な対抗策となります。

インフォスティーラー

インフォスティーラーは、ブラウザ情報や保存された認証情報などを窃取することに特化したマルウェアです。近年、企業アカウントを乗っ取るための主要な手口として被害が増加しています。有効な対策としては、ID・パスワードといった資格情報の適切な管理に加え、不審な挙動を捉えるための継続的な監視体制を整えることが重要です。

ファイルレスマルウェア

ファイルレスマルウェアは、ディスクにファイルを残さず、メモリ上で動作するマルウェアです。実体となるファイルが存在しないため、従来のウイルス対策ソフトでは検知が難しいという特徴があります。プログラムの動きを分析して異常を検知できる、EDR(Endpoint Detection and Response | エンドポイントでの検知と対応)などの挙動ベースのソリューション導入が有効です。

クリプトマイナー

クリプトマイナーは、端末のリソースを不正に利用して暗号資産のマイニング(採掘)を行うマルウェアです。データの破壊といった直接的な実害は少ないものの、パフォーマンスの低下や電力消費の増加を招きます。対策としては、異常な使用状況を継続的に監視し、早期に対処できる体制を築くことが重要です。

マルウェアが被害を引き起こすまでの流れ(サイバーキルチェーン)

マルウェアによる攻撃は単発で完結する ものではなく、段階的に進行するプロセスを辿ります。この一連の流れを体系化したものが「サイバーキルチェーン」と呼ばれるモデルです。一般的には偵察から始まり、最終的にはデータの窃取や暗号化、業務妨害といった攻撃者の目的が実行される段階へと至ります。

このプロセスからもわかるように、マルウェア対策は単に「侵入を防ぐこと」だけでは不十分であり、侵入後の挙動を検知するEDRの早期導入が欠かせません。さらに、EDRを基盤としつつ、サイバーキルチェーンの各段階に応じた多層的な防御を重視することが重要です。

図:サイバーキルチェーン

img サイバーキルチェーン

マルウェアの主な侵入経路

マルウェア対策を講じる際、まず理解すべきなのは「どこから侵入してくるのか」という入り口の部分です。サイバー攻撃の手口は日々巧妙化しており、メールやウェブサイトだけでなく、ソフトウェアの脆弱性やクラウドサービスなど、多岐にわたる経路が悪用されているためです。

現実的には、1つの対策だけであらゆる攻撃を防ぎきることは困難であり、複数の侵入経路を想定した多層的な備えが求められます。自社の業務環境において、どの経路がリスクとなりやすいのかを正しく把握しておきましょう。本章では、企業が特に警戒すべき代表的なマルウェアの侵入経路を解説します。

また、HENNGEではサイバー攻撃とその手法を事例付きで詳細にまとめています。お手軽に資料請求が可能ですので、ぜひ以下のリンクからチェックしてください。

メール経由の侵入

企業において代表的な侵入経路の一つはメールであり、フィッシングメールや不正な添付ファイルを通じてマルウェアが実行されるケースが後を絶ちません。特に近年は、取引先や社内関係者を装った「なりすましメール」が精巧に作られており、一見しただけでは判別が難しいのが現状です。

また、添付ファイルの開封だけでなく、本文中のURLをクリックさせて不正サイトへ誘導し、そこからマルウェアをダウンロードさせる手法も目立ちます。一度アカウント情報が窃取されると、その正規アカウントを踏み台にして社内外へ攻撃が拡散される二次被害のリスクも無視できません。

そのため、メール対策としてはフィルタリング機能の強化に加え、従業員教育の徹底や多要素認証の導入が推奨されます。

ウェブサイト閲覧による侵入

ウェブサイトの閲覧による感染も非常に多いケースであり、改ざんされたサイトや悪意のある広告を経由してマルウェアが侵入します。この手法は「ドライブバイダウンロード」と呼ばれ、ユーザーがサイトにアクセスしただけで、自覚がないまま感染してしまうおそれがあります。

正規のウェブサイトであっても、外部から読み込む広告やスクリプトが改ざんされていれば感染リスクが生じるため注意が必要です。さらに、ブラウザやプラグインの脆弱性を突かれることで、ユーザー側で一切の操作をしていなくてもマルウェアが実行されることもあります。

有効な対策としては、ウェブフィルタリングの導入やブラウザの最新化に加え、不審なサイトへのアクセスを適切に制御する仕組みづくりが挙げられます。

ソフトウェアやOSの脆弱性を悪用した侵入

攻撃者はOSやソフトウェアの脆弱性を狙って侵入を試みることも多くあります。特にパッチが適用されていない環境は格好の標的となり、自動化された攻撃によって短時間で侵入されるリスクがあります。

加えて、公開された脆弱性情報をもとに攻撃用プログラムがインターネット上で迅速に拡散される(エクスプロイト)ため、対応の遅れが致命的となる場合もあります。VPN機器やリモートアクセス環境の脆弱性も狙われやすく、社内ネットワークへの足がかりとして悪用されるケースが多いため注意が必要です。

したがって、定期的なアップデートの実施はもちろん、資産管理ツールなどを用いた徹底的な脆弱性管理が、防御の基本対策となります。

クラウドのファイル共有を悪用した侵入

近年増加しているのが、クラウドストレージやファイル共有サービスを悪用した侵入です。攻撃者はあえて正規のクラウドサービスを利用することで、従来のセキュリティ製品による検知を回避しながらマルウェアを配布します。

例えば、共有リンクを送付し、そのリンク先に不正なファイルを仕込むことで、ユーザーにダウンロードを促す手口が見受けられます。クラウド上に保存されたファイルを経由して、社内外へ感染が連鎖するリスクも否定できません。

クラウド利用においては、アクセス制御の強化にとどまらず、操作ログの監視やファイルのスキャンといった重層的な対策を講じることが求められます。

マルウェア感染時の兆候・症状

マルウェアに感染した場合、端末やシステムにはさまざまな異常が現れることが多くあります。

これらの兆候を早期に把握することは、被害の拡大を防ぐために重要です。特に、日常的な挙動との違いに気づくことが肝要であり、小さな違和感が重大なインシデントの前兆となるケースも少なくありません。

また、近年では攻撃が高度化していることもあり、人の目では感染時の兆候に気づけないケースもあります。そのため、危険な動きを検知できるシステム・ツールを導入することも検討が必要です。

不審なポップアップの表示

突然、広告や警告メッセージなどのポップアップが頻繁に表示される場合は、マルウェア感染を疑う必要があります。「ウイルスに感染しています」「今すぐ対策が必要です」といった不安を煽る内容は、偽のセキュリティソフトや詐欺サイトへ誘導する手口である場合がほとんどです。

これらはアドウェアやスパイウェアの一種である可能性が高く、情報の窃取を伴うおそれもあるため、細心の注意を払わなければなりません。

見覚えのないアプリが作動

インストールした覚えのないアプリケーションや不審なプロセスが動作している状況も、マルウェア感染の兆候といえます。また、知らないうちにソフトウェアがインストールされている場合には、別のマルウェアを呼び込む踏み台となる可能性があります。

こうした挙動は、バックドアやボット型マルウェアによる遠隔操作の一環として現れることもあるため、早急な調査と対処が必要です。

ファイルの暗号化・消失・改ざん

ファイルが突然開けなくなった場合や、拡張子が変更されている場合は、ランサムウェアに感染している可能性が高いでしょう。また、重要なデータが消失したり内容が書き換えられたりしている場合にも、マルウェアによる不正操作が疑われます。

これらの被害は業務停止や情報漏えいに直結するため、早期検知と迅速な初動対応が重要です。日頃からバックアップを取得しておくことで、万が一の際にも被害を最小限に抑えられます。

自社に必要なマルウェア対策の選び方

マルウェアの脅威や侵入経路を把握したところで、次に重要となるのが、自社に最適な対策を選定する具体的なプロセスです。

膨大なセキュリティ製品から自社環境にフィットするものを選定するには、機能の網羅性を比較するだけではなく、自社の体制や守るべき資産の所在を明確にしたうえで優先順位を定めていく必要があります。 

マルウェア対策の基本

セキュリティ製品は多様化していますが、対策を検討する際には「何を導入するか」だけでなく、「どの順番で対策を講じるか」という視点が求められます。まず押さえるべきは、対策の全体像です。現代のサイバー攻撃への対応は、大きく以下の4段階に整理できます。

  • 侵入を防ぐ:メール対策、認証強化、EPP(Endpoint Protection Platform | エンドポイント保護プラットフォーム)
  • 侵入を検知する:EDR(Endpoint Detection and Response | エンドポイントでの検知と対応 )
  • 攻撃の全体像を把握する:XDR(Extended Detection and Response | 拡張ディテクション&レスポンス)
  • 運用・対応を回す:MDR(Managed Detection and Response | 検知と対応のマネージドサービス )/SOC(Security Operation Center | セキュリティオペレーションセンター)

この基本構造を前提に置くと、自社の現状においてどの段階の対策を強化すべきかが、より明確に見えてくるでしょう。

自社の弱点の特定方法

上記の4段階を踏まえ、まずは自社の対策状況を整理することが重要です。多くの企業では各段階が均等に整備されているわけではなく、特定の領域に弱点を抱えているケースが多いためです。

以下の表は、自社で発生している課題から、強化すべき対策の例を整理したものです。

自社で発生している課題強化すべき対策の例
フィッシングメールや不正ログインの被害が発生している1. 侵入防止(メールセキュリティ、MFA、EPP)
マルウェア感染や不審な挙動が発生しても、端末の状況を調査できない2. 侵入検知(EDR)
インシデント発生時に攻撃経路や影響範囲を横断的に把握できない3. 全体把握(XDR)
アラート対応やログ分析の負荷が高く、継続的な監視が難しい4. 運用体制(MDR、SOC)

対策の優先順位

すべての対策を一度に導入することは現実的ではないため、優先順位を設けて段階的に強化していくアプローチが推奨されます。以下の順序に従って整備を進めていくケースが一般的です。

  1. 侵入防止(メール・認証)
  2. 侵入検知(EDR)
  3. 全体把握(XDR)
  4. 運用体制(MDR/SOC)

特に近年では、侵入を完全に防ぐことが難しくなっているため、2段階目にあたるEDRによる検知・可視化は、多くの企業にとって優先度の高い対策です。

まとめ

本記事では、マルウェアの基本的な定義から種類、侵入経路、そして企業が優先すべき対策の考え方までを解説しました。まず押さえておくべきは、マルウェアは単なる「ウイルス」ではなく、多様な手口を持つ脅威であるという点です。それぞれの攻撃には固有の目的や経路があるため、自社に潜むリスクを正しく見極めることが、実効性のある対策への第一歩といえるでしょう。

また、現在のサイバー攻撃は高度化しており、従来のウイルス対策ソフトでは防ぎきれないケースが増えています。そのため、「侵入を防ぐ対策」に加え、「侵入されたあとの対策」までを見据えた備えが欠かせません。

HENNGE Endpoint&Managed Security」は、エンドポイントセキュリティに加え、高度なマルウェア対策の実現を包括的にサポートします。すでにEPPを導入していても、侵入後の検知を担うEDRの備えが不十分な場合には、ぜひ導入をご検討ください。

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