部門間連携が鍵⁉︎HENNGEの新製品開発

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HENNGEは2023年6月、主力製品のクラウドセキュリティサービス「HENNGE One」の新機能「HENNGE Secure Download for Box」をリリースしました。
製品を自社開発しているHENNGEでは、一体どのように製品化が決まり、製品企画や開発、デザイン部門はどう連携して製品を作っているのでしょうか。
開発部門などが7月に青森県で行ったチームビルディング合宿で、製品企画部門の今泉さん、開発部門のSeanさんとJiajun Yong(JJ)さん、デザイン部門の紗良さんに、お話を伺いました。


こんにちは!今日はよろしくお願いします!
早速ですが、皆さんの業務内容について簡単に教えてください。

左からSeanさん、JJさん、紗良さん、今泉さん

こんにちは、JJです。HENNGE Oneの中でも、メール誤送信対策機能「HENNGE Email DLP」を担当しているバックエンドエンジニアです。
「HENNGE Secure Download for Box」(HSDB)では、コードを書いたり機能実装に向けた調査をしたりしました。

Seanです。同じくHENNGE Email DLPを担当しているフロントエンドエンジニアです。
HSDBでは、管理者のダッシュボードなどを作りました。

デザイン部門の紗良です。HENNGE Email DLPの担当として、さまざまな機能をデザインしています。
HSDBについてはデザインのほか、詳細な機能を詰める部分にも少し関わりました。

製品企画部門の今泉です。元々はHENNGE Email DLPをメインで担当していて、最近はHENNGEの全製品を見ています。
HSDBは企画の段階から携わりました。

ありがとうございます。
では今泉さん、改めてHSDBの機能概要について簡単に教えてください。

企業がメールで送る添付ファイルを自動でクラウドストレージ「Box」にアップロードできる、新しい脱PPAP(※)ソリューションです。
HENNGEではこれまで、脱PPAPソリューションとして「HENNGE Secure Download」(HSD)を提供していましたが、今回開発したHSDBでは、送信時の添付ファイルをBoxに自動アップロードしたり、Box上でファイル管理ができたりします。
※PPAPとは、パスワード付きのzipファイルをメールに添付して送付し、同じ経路でパスワードを送るメール送信手法。最近では安全性と利便性が疑問視され、多くの企業で脱PPAPの動きが進んでいます。

Boxにコンテンツを集約できるので管理者は管理しやすいですし、ユーザーが外部にファイル共有する際も楽ですよね。
HSDBはどんな経緯で開発することになったんですか?

アイディア自体は以前からありまして、HSD発売後にお客様から「社内で使っているクラウドストレージと連携したい」とご要望をいただいたのが製品を企画するきっかけになりました。
その後まず開発部門に提案し、「技術面での実現可能性の調査」と「市場調査」をしました。

「技術面での実現可能性の調査」と「市場調査」ってどんなことをするんですか?

市場調査ではまず、どのクラウドストレージと連携するかを決めるため、HENNGE Oneと連携しているサービスを調査し、Boxを候補としました。
その後Boxの日本市場でのシェアの調査や、実際にユーザーインタビューなどを行うことで、解決すべき課題が存在し、HSDBが解決策になると判断しました。他に競合調査なども実施しました。

今回は外部サービスであるBoxとの連携だったので、技術面での実現可能性の調査ではBoxのAPIを読み込み、どう実装するのが最適か判断していきました。

実現可能性やニーズ、マーケットがあるとわかった後、どのように製品化に進むのですか?

営業やカスタマーサクセス部門など関係するメンバーにも話をし、意見をもらいながら納得感を醸成しました。

役員へのプレゼンなどはするんですか?

役員には報告はしますが、現状はスピード感などを鑑みて、製品化のための承認を得て開発を進めることなどはしていません。

ボトムアップなカルチャーが浸透しているHENNGEらしいですね!
製品化が決まった後は、どんな流れで進んでいくんですか?

普段はバックエンドメンバーが作成したテクニカルな仕様書を元にデザインを起こしていくのですが、JJがデザインツールの「Figma」を使って機能のアイデアを視覚的に伝えてくれました。
文章や言葉のやりとりだけでは、複雑なコンセプトの理解が難しく時間を要するところですが、HSDBに関しては一発でやりたいことがわかったので感動しました。

デザイナーでも、UIを実装するフロントエンドエンジニアでもない、バックエンドエンジニアのJJがFigmaを使ってイメージを共有してくれたんですね!とても珍しいことで、部門を超えた連携には欠かせない配慮ですね。

JJさんが紗良さんに共有したHSDBのイメージ(既存のデザインデータをもとにJJさんが作成)

とんでもないです!言葉で説明するのは難しいので、視覚化する方が分かりやすいと思ったんです。
僕自身は他にもBoxのAPIをもとに認証の検証をしたり、仕様について議論を重ねていきました。

私はその後大まかなワイヤーフレームを描いて、チームとUIの方向性に合意をとってからより細かいUIデザインを作成し、フロントエンドエンジニアのSeanたちに渡しました。
実装が始まってからも彼らからデザインについて追加のフィードバックがあるので、必要に応じて追加変更を加えていきました。

デザイナーとエンジニアは業務も全く違うのに、より良いものを作るためにお互いに積極的に理解し、協力する姿勢が素敵ですね!

そうですね。ただ仕様書を受け取って、言われたとおりにデザインするのではなく、メンバーと壁打ちしながら実現可能かつユーザーが使いやすいものを開発しています。

デザイン部門、製品企画部門とは毎週ミーティングを開いて最新情報を共有していますし、些細なことでも常に連絡を取り合い、一歩踏み込んだ議論をするよう心がけています。

こうしてデザイン、開発部門がブラッシュアップを続けた結果、HSDBがリリースできたんですね。
ここまで聞いていると、部門を超えたフラットで密なコミュニケーションが、良い製品を生む鍵なんだなと感じます。今青森でチームビルディング合宿をしているのもそうですが、多様なメンバーが刺激し合うことを大切にする、HENNGEの良さが表れていますね。
ところで、HENNGEは社内公用語が英語ですが、英語が得意ではないメンバーが参加するミーティングでは、どうコミュニケーションをとっているんですか?

メンバー全員が理解できるよう、お互いに技術的な用語を避けたり、シンプルな言葉に置き換えたりと工夫しています。もし誰かが理解できない時は時間をかけて言い直したりして、全員の認識が合っているか確認しています。

僕自身、英語でうまく言えないときもあります。でもそういうときは自分なりに言い換えたり、他のメンバーが意図を汲み取ってくれたりするので助かっています。

他にも、全員が同じ情報を得られるよう、常に可視化することも大切にしています。ミーティングの内容を要約して共有したり、何かを提案するときにはドキュメントを作成したり。HSDBを作るときにJJがアイディアを視覚化してくれたのも、まさにそうです。

僕がアイディアを視覚化できたのは、デザイン部門が以前、エンジニアにデザインツール「Figma」の使い方を説明するワークショップを開いてくれたからです。おかげでより正確に物事を視覚的に説明できるようになりました。本当にありがとう。
バックエンドエンジニアとしてソフトウェア開発をするだけでなく、製品のUIデザイン設計にも主体的に参加できて楽しいです。

素敵なエピソードですね!普段から部門を超えてフラットでオープンなコミュニケーションをとっていることが分かりましたし、英語についても少し安心しました。。!
またHSDBの話に戻りますが、製品化までのプロセスを振り返っての感想を聞かせてください。

他社サービスとの連携はAPIの情報が限られていたりと大変でしたが、最終的にうまくいって本当に嬉しかったです。実現までのプロセスは楽しかったですし、たくさんの学びにもなりました。
HSDBは特に設定部分のユーザーエクスペリエンスが向上していて、管理者でなくてもとても簡単に操作できているのが気に入っています。

最初は機能について理解するのに苦労しましたが、HSDBではいままでのHENNGE製品にない、新しいデザインを実装できたのが嬉しかったです。ぜひ他の製品でもこのデザインを実装させてみたいと思っています。

プロジェクトの序盤で、JJが他のエンジニアのために、HSDBの設計図や初期設定方法をドキュメントに分かりやすくまとめてくれたんです。そのおかげでバックエンドのどの部分をフロントエンドのページと連動させれば良いか、スムーズに概要を理解してスピーディーに開発できました。本当に感謝しています。

僕は企画から携わっていたこともあり、徐々に新しいAPIとデザインが実装され、製品ができあがってくるプロセスを見るのが本当に楽しかったです。競合製品と比べても、安全性が高くUIの優れたとても良い製品ができたと思います。

HSDBは、本来であればバックエンドエンジニアが2人がかりでやるような大きなプロジェクトだったにもかかわらず、最小人数で大きな軌道修正もなくリリースできたと聞いています。その鍵は今日伺ったような、部門間のスムーズな連携や一人一人の高いスキルがあったからこそだったんですね。
最後に今後の抱負やメッセージを教えてください。

HSDBはリリースしたばかりですが、今後もサポートを続け、さらに機能を追加していきたいです。お客様からのフィードバックを楽しみにしています。

これからたくさんのお客様に使っていただき、HSDBが実際どう使われるのかを知りたいです。

HSDBのように、他の機能もより使いやすくアップデートしたいです。
あと、今回HSDBをリリースするまで少し時間がかかったので、次からはもっとスピードを意識し、ミニマムの機能をリリースしてからお客様からのフィードバックをもとに細かい改善を素早く繰り返すような開発ができると理想です。

最近HSDBをお客様にご紹介する機会が多いのですが、良い反応をいただけて嬉しいです。これからも多くのお客様にHSDBを使っていただきたいです。

ありがとうございました!


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