顧客要望を柔軟に反映!アップデートしたHENNGEの脱PPAP機能

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HENNGEは2023年10月、主力製品のクラウドセキュリティサービス「HENNGE One」の脱PPAPソリューション「HENNGE Secure Download」をアップデートしました。
お客様の声を柔軟に反映したという新機能は一体どんなもので、お客様のニーズを取り入れるためにどんな工夫をしているのか。製品企画部門の有浦さんと、既存営業部門の渡辺さんにお話を伺いました。


こんにちは!今日はよろしくお願いします。
早速ですが、お二人から簡単に自己紹介をお願いします。

2014年に中途入社した有浦です。Product Planning & Research Divisionという製品企画部門で、「HENNGE Secure Download」をはじめとしたHENNGE Oneのメールセキュリティ製品を担当しています。
渡辺さんたち社内メンバーからお客様の要望を集めて、製品に反映させるのが仕事です。

2016年に新卒入社した渡辺です。Account Sales Sectionという既存営業部門で、HENNGE Oneを導入いただいているお客様に継続利用いただく「リテンション施策」をするチームのマネージャーをしています。
ほかにも新製品の営業をしたり、HENNGEが出資したサービスの市場進出戦略を立てたりしています。

ありがとうございます。今回は、2023年10月に行われた「HENNGE Secure Download」の機能アップデートについてお話を伺います。
「HENNGE Secure Download」は2年前の2021年10月に、脱PPAP(※)ソリューションとして提供を始めましたよね。
※PPAPとは、パスワード付きのZIPファイルをメールに添付して送付し、同じ経路でパスワードを送るメール送信手法。最近では安全性と利便性が疑問視され、多くの企業で脱PPAPの動きが進んでいます。

PPAPの由来

そうなんです。2020年に政府がPPAP廃止を宣言したことで脱PPAPの機運が高まり、「HENNGE Secure Download」は待望の脱PPAPソリューションという感じでした。
送信者はこれまで通りメールにファイルを添付して送るだけで、ファイルが自動的にクラウドストレージにアップロードされ、受信者には本文と、ファイルのダウンロードURLが記載されたPDFが届きます。受信者が自身のメールアドレスの認証をリクエストすると、認証コードが別経路で届くという機能です。

「HENNGE Secure Download」の仕組み

「HENNGE Secure Download」は、提供開始2年で利用社数が35万社を突破するなど好評ですね。世の中的にPPAPを廃止する動きは進んでいるんですか?

今は企業が脱PPAPする過渡期だと感じています。企業の文化や規模、業種によって色々な事情があり、「すでに脱PPAPした」「PPAPはやめたいけど残さないと仕事にならない」「ぶっちゃけ何も対策せずPPAPを使ったまま」など状況はバラバラです。
ただ、Emotet(※)の被害が拡大している影響もあり、PPAPでのファイル受け取りを禁止する企業は増えていますし、お客様と接していても脱PPAPソリューションのニーズは高まっていると感じますね。
※Emotet(エモテット)とは、メールを感染経路とするマルウェア(悪意のあるプログラム)。PPAPでZIP暗号化された添付ファイルはウイルススキャンが難しく、Emotetの侵入を容易にしてしまいます。

「HENNGE Secure Download」の利用企業社数を表すグラフ

脱PPAPの過渡期である今、HENNGEが行った「HENNGE Secure Download」のアップデートはどんな内容なんですか?

お客様の要望を受けて、主に2つの機能をアップデートしました。
まず、ファイルのダウンロードURLを送る選択肢の追加です。企業や送信者、受信者によって送信方法を選べるようにしました。
また、受信者に届く通知PDFの言語表示もカスタマイズできるようにしました。
「脱PPAPの過渡期」だからこそ、色々なフェーズのお客様に合わせて柔軟な選択肢を設けた形です。

なるほど。まず、ダウンロードURLの選択肢について教えてください。どんな選択肢が増えたんですか?

これまで添付ファイルのダウンロードURLはPDFでしか送れなかったのですが、PDFではなくメール本文に自動挿入して送ることもできるようにしました。
送信者側はこれまで通りメールにファイルをただ添付して送るだけで、メール本文にURLが自動で挿入されるんです。

便利ですね!「お客様の要望を受けて」実装したとのことでしたが、なぜURL本文挿入の要望が多いんでしょう?

最近、添付ファイルを受信する企業側のセキュリティルールが厳しくなっていて、「PDFを含め添付ファイル自体受け付けられない」というケースがあります。また、PDFでURLが届くことに慣れていない受信者の方も一定数いらっしゃいます。
URLの本文挿入であれば、送信者自身がURLをメール本文に書いているのとほぼ同じ状況なので 、戸惑いなく受信できると思います。

なるほど。ちなみにそういうお客様の要望って、どうやって集めているんですか?

HENNGEでは、お客様の要望を一元管理できる専用ツールを導入しています。営業やサポート、導入支援チームのメンバーは、お客様から伺った要望をそのツールに登録して効率的に意見を集約しています。

その専用ツールに、URLの本文挿入についての要望はどのくらい寄せられたんですか?

100件ほど届きました。
近年は製造業を中心にEmotetへの感染被害が拡大したこともあり、製造業のお客様から「受信者がPDFなどの添付ファイルに警戒心を抱いているので、別の手法でファイルを送りたい」という要望を受けたのを覚えています。

PDFと本文挿入、それぞれのメリットとデメリットを教えてください。

PDFの1番のメリットは「メール受信箱の中から、ファイルの有無やファイル名で添付ファイルを検索できる」ですね。逆にデメリットは「PDFなど添付ファイルの受信を拒否される場合がある」などが挙げられます。
一方、本文挿入のメリットは「PDFを含め、全ての添付ファイルの受け取りを拒否する受信者にも届けられる」ことですね。デメリットは「PDFのようにメール受信箱の中から添付ファイルを探すのが難しい」などがあります。
お客様の状況に合わせて使い分けていただくのが良いと思います。

ありがとうございます。
もう1つのアップデート「通知PDFの言語表示カスタマイズ」についても教えてください。

「HENNGE Secure Download」を使って従来のPDF形式でファイルのダウンロードURLを送る際、受信者に届く通知PDFの言語表示を柔軟にカスタマイズできるようにしました。

これまで「HENNGE Secure Download」でファイルを受け取る際、受信者にはメール本文と、ファイルのダウンロードURLや期限が記載されたPDFが4枚届いていましたよね。

はい。色々な言語に対応するため、PDFの1枚目は日本語、2枚目は英語、3枚目は簡体中国語、4枚目は繁体中国語でダウンロードURLの案内をしていました。
今回はPDFの順番を変更したり、特定の言語のPDFだけ送るといったカスタマイズができるようにしました。また、PDFファイル名もカスタマイズできるようになりました。

ダウンロードURLなどが日本語、英語、簡体中国語、繁体中国語で届くPDF

言語設定についての要望も多かったんですか?

国内のお客様からは「日本語だけで十分」「PDFの枚数を減らしたい」という声や、海外に取引先や利用ユーザーがいるお客様からは「英語だけ必要」「日本語が1枚目なのが違和感がある」というお声があるようで、合わせて50件ほどの要望登録がありました。

本文挿入機能と言語設定機能の実装背景をお聞きすると、お客様の要望を柔軟に取り入れている印象です。工夫されていることはありますか?

要望はとても柔軟に取り入れていると思います。
これまでは社内メンバーからすると、専用ツールへの「要望登録が面倒」「要望を伝えても何も変わらない」という空気感もあったのか、入れてくれる要望は一部でした。
なので最近は要望登録のハードルを下げるため、要望を入れてくれたメンバーにはその要望に関する状況を共有したり、機能実装される時点で「実装しますよ」と報告したりしていて、登録件数は格段に増えました。要望数のみが判断材料ではないのですが、要望が多いものはできるだけ実装の優先度を高めています。

僕が登録した要望が採用されたこともあります。
訪問先のお客様や、お客様向けのアンケートからは「HENNGEは要望を柔軟に取り入れてくれている」と言っていただきます。今回の「HENNGE Secure Download」アップデートについても、本文挿入の要望をくださったお客様から「要望に対する実装をしてくれてありがとうございます」とご連絡をいただいたのは嬉しかったですね。

より良い製品を作るために、日々工夫されながらニーズを反映されているんですね。
改めて今回のアップデートを踏まえ、メールセキュリティを強化したいお客様にとって、「HENNGE Secure Download」のおすすめポイントはどんなところですか?

送信方法は普段通りメール添付で送るだけとシンプルですし、受信者によって添付ファイルの送り方を柔軟に使い分けられる点ですね。
添付ファイルが受け取れる受信者にはPDFで、受け取れない受信者にはURLの本文挿入で送れますし、英語と中国語にも対応しています。PPAPのみ受け取り可能な受信者にはZIPでも送れますし、Boxでファイルを一元管理したい組織には「HENNGE Secure Download for Box」が使えます。受信者と送信者、それぞれのニーズに合わせた対応ができるソリューションだと思っています。

送信方法を細かく設定できるのは強みですよね。
僕はそれに加えて、「届けちゃいけない情報を届けない」を実現できるのがHENNGEのコアバリューだと思っています。万が一メールを誤送信しても、送信者自身が受信者のダウンロード状況をチェックしながらファイルダウンロードURLを無効にできるのは、情報漏洩対策の観点でも非常に有効な手段だと考えています。

その通りですね。最後に今後の展望について教えてください。

現在は製品のコアバリューである誤送信対策の強化を進めています。今後もお客様の声を聞きながら、安全なメールコミュニケーションを実現できる世界を目指していきます。

今回お客様に提案できる選択肢がさらに増えたのでしっかり届けていきたいですし、お客様からのフィードバックを有浦さんのチームに戻し、より良い製品づくりに生かしていきたいです。

ありがとうございました!


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